ドイツのジャズロック・グループ「PASSPORT」。 50 年代から活動するサックス奏者クラウス・ドルディンガをリーダーに、70 年代から活動開始。 ドイツを代表するジャズロック・フュージョン・グループ。 クロス・オーヴァー・イレヴン御用達。
Klaus Doldinger | tenor & alto & soprano sax, Moog, electric piano |
Lothar Meid | bass |
Udo Lindenberg | drums |
Olaf Kübler | tenor sax, flute |
Jimmy Jackson | organ |
71 年発表の第一作「Passport」。
内容は、二管をフィーチュアしたヘヴィでキャッチ―なジャズロック。
EMBRYO らに通じるサイケデリックな感覚にあふれたところと、R&B 調のファンキーさ、武骨な泥臭さが特徴である。
オラフ・キュブラーはジャズ畑の人らしく安定感と色彩のあるパフォーマンスを見せているが、AMON DULL II にも参加していることから前衛的な音に貪欲なタイプらしい。
初期 RTF に近い尖鋭的ながらもオーセンティックな雰囲気は、この人の管楽器、特にフルートのプレイに負うところが大きいようだ。
ローサ―・マイトは EMBRYO に参加後、ここを経て AMON DULL II へと進んだロック寄りの人物であり、オルガン奏者のジミー・ジャクソンとともにストレートでブルージーなロックンロール・テイストを担っている。
ジャズらしい個人プレイのアドリヴもさることながら、ドルディンガ―とキュブラーの二管がパワフルに唸りを上げて前面に出張るところや、ドルディンガ―自らが操る初期シンセサイザーの怪しいエフェクト音など、ニューロックといわれた頃のロックの過激な力強さが感じられるところがいい。
SOFT MACHINE 同様ロックを梃にしたフリージャズの混沌からのブレイクスルーを目指していたに違いない。
もっとも、こちらは主役はいかにも海千山千のジャズ・プレイヤーらしく英国流のプログレッシヴな難解さを回避して、ポップでメロディアスな分かりやすさを強調しているところが異なる。
これは、イージーでバカっぽくなることに抵抗がない、といってもいい。
英国勢が晦渋なアカデミズムに陥りがちなのに対して、ドイツ・ロックには独特の野生があり、ねじ伏せるような暴力性と素朴さがある。
フュージョンへの移行もこの音楽性ならばごく自然に行われたに違いない。
音響に関する感覚が鋭敏でサウンド・エフェクトがまったくダサくならないことも特筆すべきだろう。
プロデュースは、クラウス・ドルディンガー。
全曲インストゥルメンタル。
ジャケットはドイツ連邦共和国の緑色のパスポート。
「Uranus」(6:35)スペイシーな変拍子ジャズロック。サックスによる直線的なファンクネスとエレクトリックなサウンド。豪快。ファンタジックな中間部もいい。
「Schirokko」(5:44)EMBRYO 直結のイケイケなファンク・ジャズロック。
二管のなめらかで力強いユニゾンとのたくるベース・リフ。オルガンのアドリヴをフィーチュア。サックスのアドリヴはモダン・ジャズ。
「Hexensabbat」(4:27)ハードロック風のチープな邪悪さが特徴的な作品。タイトルにもあるように BLACK SABBATH のようだ。オルガンのアドリヴをフィーチュア。
「Nostalgia」(5:13)フルート、ソプラノ・サックスがリードする神秘的なバラード風の作品。メロディアスな演奏のリリシズムに早やフュージョン期の片鱗を感じる。ギターのような音も聴こえる。
「Lemuria's Dance」(4:37)小刻みな 8 分の 6 拍子とゆったりメロディアスな管のプレイが合わさったエキサイティングでつややかなジャズロック。管楽器のストレートなパワーでアピール。
「Continuation」(9:53)即興が連なる奥深い音響空間。ここでもギターっぽい音がする。サックスの響きは眠りたがる音たちを目覚めさせようとしているようだ。中盤で秩序が生じるも、抑制されたトーンの演奏が続いていく。二管の微妙な絡みがいい。ワウワウが古臭いようでいていつまでも新しい。
「Madhouse Jam」(5:47)フルート、ファズ・オルガン、ファズ・ベースが強烈な主張を繰り広げる JETHRO TULL ばりのヘヴィ・ロック。ヤバい感じ。
(ATL 40 299 / WCPR-16882)
Klaus Doldinger | tenor & alto & soprano sax, Moog, electric piano |
John Mealing | organ, electric piano |
Bryan Spring | drums |
Wolfgang Schumid | bass, guitar |
72 年発表の第二作「Second Passport」。
内容は、管楽器とキーボードをフィーチュアしたスペイシーなジャズロック。
メンバーは総入れ替え、IF の鍵盤奏者、ジョン・ミーリング、NUCLEUS に参加したドラマー、ブライアン・スプリングら英国ジャズロック・シーンのミュージシャンが参加している。
ミニマルなリフとメロディアスでクールなテーマ、変拍子、シンセサイザーの多用など、音楽の特徴はフュージョンに接近した「Six」「Seven」辺りの SOFT MACHINE と類似する。
サイケデリックな感覚をエレクトリック・サウンドで活かし切ったダンサブルにしてトランシーなジャズロック。
聴きやすく、個人的にはベスト。
6 曲目冒頭のオルガンとサックスのシーケンスに胸打たれるところなど、わたしは英国流が好みなようです。
5 曲目も馴染みやすくてカッコいい。
プロデュースは、クラウス・ドルディンガー。
全曲インストゥルメンタル。
不気味な眼鏡ジャケは本作から。
(ATL 40 417 / WOU 417)
Frank Roberts | Fender piano, organ |
Wolfgang Schmid | bass, guitar |
Curt Cress | drums |
Klaus Doldinger | tenor & soprano sax, Moog, electric piano, Mellotron |
73 年発表のアルバム「Hand Made」。
内容は、メロディアスなサックスとキーボードを中心としたパワフルなクロスオーヴァー。
初期 WEATHER REPORT をリラックスしたような音から、ハモンド・オルガン、メロトロン、ムーグが高鳴るプログレ系のジャズロックまで、聴きやすい作品が並ぶ。
本作より、孤高の名ドラマー、クルト・クレスが参加し、パワー溢れるロック・ビートとテクニカルな小技で屋台骨を支える。
3 曲目は、メロトロンをバックにしたメローなサックスのテーマに、ファズ・ギターのヘヴィなパワー・コードがアクセントする、いかにも 70 年代らしい佳作。
4 曲目は、オルガンの音や変拍子による R&B 調のリフ、スペイシーなムーグなど、SOFT MACHINE を連想。
タイトル・ナンバーは、存在感のあるテーマによるブラス・ロック風の佳曲。
ムーグやギターは完全にプログレ。
6 曲目は、ギターのコード・カッティングとクラヴィネットが小気味いいファンキー・チューン。
クルト・クレスの重くストレートなドラムスが、ソフトな音のなかでうまく活かされている。
全体に、サックスがメローにして力強いブローを見せており、クレスのド迫力のドラムスの存在もあって、フュージョンよりもエレクトリック・ジャズというべき骨太なニュアンスがある。
レコーディング・エンジニアとして、ディター・ディルクスがクレジットされている。
プロデュースは、クラウス・ドルディンガー。
全曲インストゥルメンタル。
「Abracadabra」(7:20)
3 連 2 拍のたたみかけるようなリズムで突き進むパワー・チューン。
ベースのリフがドライヴするビッグ・バンド風のテーマを経て、まずはサックスのパワフルなソロが飛び出し、エレクトリック・ピアノ、ベース、オルガンが、次第にサックスへと寄り添ってゆく。
サックスに続いて、エレクトリック・ピアノ・ソロ。
中間部では、リズムのアクセントを 3 拍子へ変えて、ジャジーなプレイも交えている。
そして、全編でランニングの巧みなベースと重量級のドラムスのリズム・セクションが、がっちりと演奏を支えている。
ファンキーだが軽さは皆無。
怒涛の寄り身という表現がふさわしいパワー・チューンです。
「The Connexion」(5:33)
各自アサッテの方を向いたままの、ほどよく抑制された演奏が SOFT MACHINE 的な、奇妙な味わいを持つ作品。
サックスのアドリヴを軸に演奏が形作られるも、執拗なリフからドラムスをフィーチュアしたフリー・フォームの演奏へ進むなど、展開は大胆。
メロディアスで平静なようで、かなりぶっ飛んだ内容である。
ペンタトニックの音形が和風というか演歌っぽいところもおもしろい。
「Yellow Dream」(4:20)メロトロンがささやきエレクトリック・ピアノがにじむスペースをメローなサックスのテーマが貫く。
応ずるは、ヘヴィに唸り跳ねってリフをたたきつけるサイケ・ギター。
再び、ギターが荒らした空間にメロディアスなサックスが現れて、我関せずとばかりにロマンティックに歌う。
ギターがハードロック調のリフで激しく反撃するも、またも、サックスが宇宙や深海を思わせるメローなソロで上書きしてゆく。
WEATHER REPORT の一作目を思わせる音にヘヴィなギターを結びつけた娯楽作。
「Proclamation」(2:39)
クラヴィネットとオルガンがカッコよくリズムを刻み、シンセサイザーが高鳴るファンキー・チューン。
ベース、ドラムスが 8 分の 5+6 拍子で小気味いいパターンを打ち出す。
変拍子の上でひょうきんなムーグのソロ。
キーボードをフィーチュアしたソウルフルなジャズロックだ。
「Hand Made」(9:26)
ブルージーなロック・ビートの安定感が特徴的なブギー・ジャズロック。
テーマはサックスとムーグ。
まずは、奔放なサックスとワウ・ギターによる押しの強いアドリヴ。
後半からは、エレクトリック・ピアノのバッキングでワウ・ギターのアドリヴ。
ドラムスは 1 曲目よりさらにヘヴィかつ敏捷な打撃技を見せる。
アルバムのクライマックスである。
「Puzzle」(4:07)こってりしたグルーヴがいい R&B 調ジャズロック。
「The Quiet Man」(4:43)メローでロマンティックな作品。ソプラノ・サックスとローズ・ピアノによる密め事。
(ATLANTIC 2292-42172-2)
Wolfgang Schmid | bass, guitar |
Curt Cress | drums, electric percussion |
Kristian Schultze | Fender piano, organ |
Klaus Doldinger | tenor & soprano sax, Moog, electric piano, Mellotron |
74 年発表のアルバム「Looking Thru」。
内容は、サックスとキーボードが中心となる WEATHER REPORT、SOFT MACHINE 編成のジャズロック。
キーボードとサックスがフロントを務め、ギターは 3 曲目のアコースティックと 6 曲目のワウ・バッキングのみだ。
音は、もう完全にあの時代のあの音であり、ソロがやたらと饒舌なところが特徴だろう。
あまり黒っぽくない WEATHER REPORT とリング・モジュレータ・オルガンの代わりにムーグを使う SOFT MACHINE が混ざった
ような音である。
エレクトリック・ピアノに加えてムーグやメロトロンも多用しており、いわゆるキーボード・プログレと相通じる瞬間もある。
ヨーロッパのグループらしく、アメリカのグループの開放感よりもブリティッシュ・ロックに通じるスペイシーな広がりと翳りがあると思う。
テーマはけっこうベタなファンク風だったり、演歌っぽかったりするが、そのグルーヴには R&B、野卑な熱気があまり感じられない。
サックスは、ウェイン・ショーターに聴こえたり、エルトン・ディーンに聴こえたりする饒舌型であるが、平均するとソフトなトーンでなめらかなフレージングを聴かせるタイプだろう。
エコーを効かせた、明快でメロディアスなプレイが主である。
ドルディンガ氏のロック認識は、同時代のものというより、少し昔のロカビリーなのではと思わせるところが多い。
また、クルト・クレスのドラムスも、手数こそ多いが、きわめてロックっぽい 8 ビートを叩いている。
シンバルもどことなく不似合いである。
この手数は多いが非ジャズ的なドラムスのおかげで、いわゆるクロスオーヴァー・フュージョン的なサウンドにおいても、オリジナリティが出ているようにも思う。
もっとも、それでも万事尖がり具合はさほどではなくあくまでマイルドな触感である。
おそらく「テク至上」というスタンスではないのだろう。
ソロは、主としてサックス、エレクトリック・ピアノとムーグが決め、バッキングはなんとメロトロン。
このメロトロンの音が、全体の印象をフュージョン側からブリティッシュ・プログレへと引き寄せている要因である。
エレクトリック・ピアノのバッキングでサックス・ソロが始まると、いかにもフュージョン調の爽快感が現われるが、ムーグがけたたましく暴れてメロトロンが背景を埋めると世界が一変するのだ。
緩急硬軟変化に富むキーボード・アンサンブルと比較的オーソドックスなモダン・ジャズ調のサックス・ソロがタイトなリズムに乗って暴れまくるとかなり面白い。
ハードロックみたいなリフまである。
テクニックはあるのに、メカニカルなシャープさよりも、素朴でロマンチックな味わいが感じられるところも、アメリカのグループとは異なる。
楽曲は実にさまざま。
あちこち美味しいところ取りをした結果、とっ散らかった内容になっているが、とにかく楽しい音である。
ジャズロック、フュージョン、ジャーマン・ロックのファンにお薦め。
前作、次作と比べると、ソロを削ってポップな小品集にまとめた印象もある。
「Eternal Spiral」(3:59)エレクトリック・ピアノ、シンセサイザーを縦横無尽に操る快速エレクトリック・チューン。
サックスなし。
イントロでは、ムーグとメロトロンの心温まるアンサンブルへテクニカルなドラムスが雪崩れ込むというプログレ的な展開もある。
「Looking Thru」(7:58)サイケデリックでファンタジックなスペースをメローなソロが絶妙のタッチで切り開く。
ファンキーにしてルーズさのないかっちりしたグルーヴをメロトロンがトリミングする。
後半、シュアーなファンク・ビートでキーボードがからみあう展開の風格がすごい。
「Zwischenspiel」(1:31)デメオラばりのアコースティック・ギター・ソロ。
「Rockport」(3:31)キーボード中心にソウル、ディスコ系グルーヴを打ち出した佳作。
WEATHER REPORT より俗っぽいサックスがいい。ジャスト・ビートのドラムスがカッコいい。
「Tarantula」(4:48)アッパーなジャズロック。ハードロックっぽさもあり。
「Ready For Take Off」(4:47)R&B のファンキーさとジャジーでアーバンなポップス・タッチが交差する佳作。
キーボードを応用したポップなアレンジもみごと。
「Eloquence」(5:12)リズムもジャジーなハイテンションの正調ジャズロック。
サックスもきりっと襟を正した感じで、そうなると いよいよ WEATHER REPORT、SOFT MACHINE に近接。
「Things To Come」(2:45)超速スペース・ジャズ。瞬間 BRAND X といっても可。
(ATLANTIC 2292-44144-2)
Klaus Doldinger | tenor & soprano sax |
Johnny Griffin | tenor sax |
Volger Kriegel | guitars |
Wolfgang Schmid | bass |
Brian Auger | organ |
Pete York | percussion, drums |
Alexis Korner | guitars, vocals |
Curt Cress | drums |
Kristian Schultze | piano, electric piano, moog, mellotron |
74 年発表のアルバム「Doldinger Jubilee Concert」。
内容は、オールスター・キャストによるジャズロック大会。
ディーター・ディルクスの編集やリハ不足のいい加減さも含めて、あふれる個性を楽しむべき演奏である。
ドルディンガーとグリフィンのツイン・サックスが極太のタッチでテーマ演奏を繰り広げる。
ブライアン・オーガーは、自身のステージのように(というか、マジで自分が主役と思っているんだろう)ブルージーなプレイで暴れまわる。
求道者フォルガー・クリーゲルも楽しそうにロック・ギターをぶちかましている。チープなフレーズを弾き飛ばすときの安定感がすごすぎる。
シュミットのベース・ラインも実に力強い。
そして、圧巻は、クルト・クレスの超弩級ドラミング。
この後、ほぼ同名の「Jubilee Concert 75」も発表している。
「Handmade」(5:42)
「Freedom Jazz Dance」(6:00)
「Schirokko」(9:30)
「Rockport」(9:15)
「Rock Me Baby」(4:40)
「Lemuria's Dance」(6:55)
(ATLANTIC 2292-44175-2)
Kristian Schultze | keyboards, synth |
Wolfgang Schmid | bass, guitar, harmonizer |
Curt Cress | drums, percussion |
Klaus Doldinger | tenor & soprano sax, Moog, voice, keyboards |
76 年発表のアルバム「Infinity Machine」。
ファンキーさがやや強まるが、「Looking Thru」の音から大きな変化はない。
シンセサイザーの分量がこれまでよりもやや増えたかなという感じはある。
内容は、スペイシーなエレクトリック・キーボード群とまろやかなサックスによる人懐こい演奏を、がっちりしたリズム・セクションが引き締めるジャズロック、フュージョンである。
シンセサイザー、クラヴィネット、エレクトリック・ピアノが小気味のいい躍動感を生み出し、サックスがなめらかに歌ってゆく、気持ちのいい演奏だ。
メロトロンやシンセサイザーによる空間的な効果も健在であり、エレクトリックな処理も大胆に取り入れている。
その、きわめてモダンなサウンドを、あくまでメロディアスでジャジーなサックスが飄々と貫くところが特徴だろう。
したがって、全体の印象は、メインストリームを席巻したラテン・タッチの爽快感やハンコック流のブラックな野性味とはやや異なる、ファンタジックでキュートなものになっている。
サックスに導かれてメローな曲調が主と思っていると、4 曲目のタイトル曲では疾走感あふれる豪快な演奏でねじ伏せられ、5 曲目では、ふと気がつけば、サイケデリックな暴走に巻き込まれている。
6 曲目も、サックスのソフトなソロとエレクトリック・ピアノによるグルーヴィな演奏がある一方で、吸引力のあるストリングス系シンセサイザーとアコースティック・ギターらによる静かに波打つような曲調が宇宙の神秘を感じさせてくれる。
初期 WEATHER REPORT から高踏趣味・晦渋さをなくしたようなイメージともいえるかもしれない。
「Ju-Ju-Man」(10:04)マシンのようでいて弾力性もたっぷりのジャスト・ビートの上で、ファンキーなソロ回しが続く。
ソロの抑揚よりも、デジタル・ビートといわんばかりに強めにミックスされたリズムに支配されており、テクノ風味すらある。
これはアメリカのフュージョンにはない感覚だ。
「Morning Sun」(5:49)冒頭のレガートなサックスのテーマ、そしてクラヴィネットのビートの上で、ピアノとベースが見せるインタープレイが、きわめてナベサダ/フュージョン・タッチだが、どこか異なるニュアンスがある。
モダン・ジャズもしくはロックの孕むスリルが感じられるのかもしれない。
後半、ハードなリズムで、奔放なソプラノ・サックスを歌わせるなど、一ひねりがいい。
ドルディンガーの海千山千的センスに脱帽。
「Blue Aura」(3:02)ピアノとサックスによる神秘の世界。
ピアノのアクセントがおもしろい。
「Infinity Machine」(5:12)思い切ったエレクトリック・ビートに不意打ちを食らい、眩暈を感じる暇もなく、ハードな演奏へと巻き込まれる。
迫力満点、痛快極まるジャズロック。
まさに爆発的なドラムス、ワイルドに変調したエレクトリック・ピアノのソロがすごい。
サックスだけはいかにもジャズらしいのですが「You」GONG といってもいい内容。
傑作。
「Ostinato」(7:37)エレクトリックなオスティナートに酩酊するスペース・ジャズロック。
透き通るようなシンセサイザーが、ニール・アードレイの作品を思わせる。
終盤 1 分間はディープなサイケ/テクノ。
しかし、テーマは頑固にメロディアスである。
「Contemplation」(6:39)アコースティック・ギターやエレクトリック・ピアノを用いたメローなナイト・ミュージック風の作品。
シンセサイザーが美しい。
サックスはいつもの通り。
(ATLANTIC 2292-44146-2)